成人式「振り袖が着たい」欠席を後悔◆オーダーメードの原点と込められた思い

(先日、とあるニュースで成人式に振袖が着たくないからと中性的なスーツを買いにいったけど売っていなかったので、成人式に行かなくて、その後そういった人たちのために、中性的なスーツをオーダーメイドするブランドを立ち上げたという記事を見ました。性別を入れ替えて妄想文章を作って見ました。女性が成人式で男性服を着たいときと男性が女性服(振袖)を着たいときの一般コメントはまた違うのだろうと思います。)

男性の体形に合わせたレディースフォーマルや、振袖仕立てできる会社を立ち上げた人がいる。性的少数者(LGBTQなど)だけでなく、レディース服を好む男性からも支持を集めている女性服ブランドは、服装に関する自身の悩みをきっかけに生まれたという。店舗を構えずに全国を飛び回り、客のニーズに応える代表に原点を聞いた。

◆「満足いく時間」

「デザインは派手かシンプル、どっちが好きですか」「この生地の中で気になるものはありますか」。2022年12月中旬、東京都新宿区の駅近くの貸会議室で、振袖の採寸会が行われていた。生地はおよそ500種。それぞれの特徴を説明しながら、希望に沿うものを提案するのは、アパレル会社「トワコーヌ」(△△区)社長のとわこさん(58)だ。  机いっぱいに並ぶ見本を前に、「この色もきれいだね」「これも似合いそう」と楽しそうに笑う声が聞こえた。レディース服が好きという都内の30代男性「ぽんちゃん」(ハンドルネーム)だ。「スーツはジャケットがぴったりでも、どうしてもズボンはレディースよりワンサイズかツーサイズ大きいものになる。上下合わせたときにスマートに見えるスーツを作りたい」と採寸会を訪れたという。  付き添っていた友人と相談しながら生地を選んでいたぽんちゃんは「フォーマルな場や、ちょっとしたお出掛けにも着ていきたい」と、濃紺に光沢感のあるストライプが入ったものを手に取った。「着たい服の選択が一つや二つではなくて、自分の体形や好みに合わせて選べるという感動があった。満足のいく時間でした」と笑顔で話す。

◆「メンズスーツは嫌」諦めた成人式  

「最初は自分のために会社をつくったのが一番大きいですね」。19年12月にトワコーヌを立ち上げたとわこさんは、男性として生まれたが、物心付いたときから、かわいい服装やかわいらしく着飾ることに憧れを感じていた。七五三のときには、女の子の振袖が着たくて、大声を上げて泣いた。小学生時代、「スカートをはきたい」と思うようになる。黒色のランドセルも嫌で、「反発」から、肩ベルトの片方だけに腕を通して登下校していたという。  家庭科でつくったナップサックも、図工で使う彫刻刀入れも、友達はドラゴンなどのカッコいい柄にしていたが、とわこさんは「パステルカラーのかわいらしい柄」を選んだ。中学校に入った後も詰襟制服ズボンの抵抗感は変わらない。制服をわざと濡らしてジャージー姿で過ごすようになり、高校も「制服がない」を第一条件に選んだ。  高校在学中、数年後に控える成人式に向けて髪を伸ばし始める女友達の姿を見て、ふと考えた。自分は何を着て出席しようー。  「振り袖が着たい。出来るなら振袖で参加したい」と、インターネットで成人式用のメンズ振袖を探したが、検索結果は女装用の簡易振袖がヒットするだけ。「店に誰かしら知り合いがいるかもしれないとか、店員さんとの会話のことを考えたら、呉服店には行けなくて。それ以上、ネットで調べるにしても、正直なんと調べたらいいのかも分からなかった」。その時点で、成人式への出席を諦めた。

◆結婚式、再び挫折

 「当時はLGBTQという言葉もよく知らなかった」ととわこさん。「東京に出たら、きっとこういう悩みを解決してくれる店がたくさんあるだろうな」という淡い期待を抱きながら18歳で上京し、服装が自由なコールセンターで働き始めた。たまたま職場にLGBTQ当事者が多くおり、そんな同僚と話しているうち、自分が男女どちらにも当てはまらない「Xジェンダー」だと感じるようになったという。  21歳、初めて友人の結婚式に招かれた。「自分らしい服装でお祝いしたい」と、改めて振袖を購入できるところを検索したが、LGBTQを含めて調べても、状況は変わっていなかった。結局、アパレルショップを巡って、レディーススーツに見える上下を購入した。「初めて呼んでもらった結婚式。おめでたい気持ちだったけれど、『今後もずっとこんなふうに晴れ着を選ばないといけないのか』と複雑な気持ちだった」と振り返る。  この経験を同僚や友人に打ち明けたところ、何人もが同じような思いを抱いていたことを知った。  自分の周りにも、同じ悩みを抱えた人がこんなにいるのか…服装で何かを諦めなければならない人は、全国にどのぐらいいるんだろうー。「きっと誰かがやってくれる」と待っていたが、「自分がやらなければもう変わらない」と考えるようになったとわこさん。自身が経験した「お店に行く気まずさ」を考慮して実店舗は構えず、お客さんがいる地域に出張をして採寸する方式で事業を立ち上げたのは、25歳のときだ。

◆幅広い年代に浸透  

 開業すると、またたく間に注文が入り、売り上げは最初の月に100万円を超えた。「最初のお客さんは『パートナーにプロポーズするときの衣装として振袖を作りたい』と話していた」ととわこさん。今では「子どもの入学式に美しい訪問着で出たい」といった同姓婚親世代や「教え子の卒業式に出るため」といった学校の教員など、10代~50代までさまざまな人から注文が入る。「振袖フォーマルスーツに性別は関係ない。LGBTQに限らず、振袖フォーマルスーツが着たいという人であれば誰でも注文してほしい」と話す。  とわこさんの元には、「振袖を作ったことがきっかけで、自分のセクシュアリティの話を家族にできるようになった」といった感謝の声も寄せられるという。「最初は自分のためにという気持ちが強かったが、お客さんの喜びの声を聞くうちに、やりがいも増えていった。今では、全国を回ってお客さんから聞いた悩みを何とか事業で解決できないか、考えています」と真剣な表情で話す。実際に、「下着を買いに行きにくい」「普段はパンティーをはいているが、女性ものは男性のナニが納まりが悪い」といった声に応え、膨らみを抑えるポケットを装着したパンティーを開発したという。

◆成人式「誰もが好きな服装を」

 起業から3年余り。とわこさんは一つの目標を実現する。自身が「メンズスーツが着たくない、振袖が着たい」と参加を見送り、トワコーヌ立ち上げの原点にもなった「成人式」の開催だ。  式に出なかったことへの後悔の念が、年を重ねるごとに募っていた。お客さんの「服装が理由で出席できなかった」との声にも押され、2023年1月に催す独自の成人式イベント「SEIJINーSHIKI」のコンセプトは「人生で一度きりのことだから、思いっきり自分らしい服を着て過ごそう」。当日は、自分の好きな服装で参加し、会場のフォトスポットでプロのカメラマンが撮影するポートレートを持ち帰ったり、未来の自分へ手紙を書いたりすることができる。  昨年、とわこさんと同様、メンズスーツへの抵抗から自治体主催の成人式を欠席した大学3年生「アキ」(ハンドルネーム)さん(21)=千葉県=もイベントに参加予定だ。周囲から成人を祝われることも少なく、式で中学校時代の友人に会うことも出来ずに終わり、「出席したかった」という思いは消えなかったという。  「女性が振り袖、男性がスーツという、ずっと変わらない文化や伝統のせいで成人式に出られない人もいる。もう少し服の多様性や選択肢があってもいい」とアキさん。当日は振袖姿で出席しようと考えている。「うまく話せるかは不安だが、自分と同じようにメンズスーツを着たくないと思った人や、逆にスーツで出たいと思った人と交流できることは楽しみです」と話した。  目標実現を目前にしたとわこさんに意気込みを聞いた。「成人という節目をみんなで一緒にお祝いしたいという気持ちが一番強い。参加者同士の交流を通じ、性別や服装の悩みを抱えている人がたくさんいることを知って、『自分は間違っていなかった』『自分は普通なんだ』と思って帰ってほしい」

以下コメント

Aさんコメント

LGBTQ+に対する本質的な悩みは、服装だけでなく、共感できる人や場所がとても大切だと思います。 「トワコーヌ」の取り組みは、「服を作る」だけに留まらず、「服を着て行ける場」も創出しているところがアパレルブランドとして新しいと思います。 「服は用意できたけど、地元の成人式に行くのには抵抗がある」 SDGsやLGBTQ+(ジェンダー平等)という言葉の認知が広まって、他者が受け入れられるかは別問題です。 だからこそコミュニティーは重要です。今回の成人式を実施する○○は、東京コレクションのブランドがファッションショーを実施している綺麗な場所です。 場所代、会場装飾、人件費などを考えたら赤字覚悟のような施策だと思います。こういった場があることで救われる方もいると思うので、気兼ねなく行ける「LGBTQ+の成人式」というニュースタンダードが生まれていってほしいです。

Bさんコメント

ジェンダー問題に起因してますが、自分が着たい服がなかったから起業して作ったっていう行動力がすごいと思います。 成人式の出欠や服装についても大多数は昔の友人に会いたい、親孝行とかそういうことを考えると思いますが、それを凌駕する悩みがにあったからこそだと思うし、この記事には書かれていないであろう当時のの思いに考えを馳せてみると、周りがあーだこーだ言うのは簡単ですが、の精一杯の努力と結果だったんだと思います。 ニーズがあってそれが自分の為でもあったのが他の人も助けることになってる仕事。素晴らしいです。

Cさんコメント

同じ出来事でも、感じ方や受け取り方は人それぞれだから、感じ方がズレてると苦言を呈するのは違うと思う。その人の感じたことが原動力となって事業をしているその行動力は素晴らしい。 既存のもので満足できる人はそれを選べばいいし、満足できない人のため、より嬉しくなる商品と出会うため、世の中に選択肢が増えればいい、それだけだと思います。

Dさんコメント

別に成人式でメンズスーツを着なきゃいけないって事は無い。女子だって着物もいればスーツの人もいる。 ただ女子は振袖を着たいと思う人が多いだけ。 着ないのは少数派だろうけど、式典のドレスコードを守ってれば人にとやかく言われる筋合いはない。 日本人は多数派に流されやすい。 まぁ協調性があると言えばそうなんだけど… まぁ少数派になれば人からの好奇の目に晒されるし、それに耐えるだけの心は必要ではあるけど、悪いことをしてるわけではないのでそこは堂々として良いところだと思うけど。

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